社労士/社会保険労務士鈴木労務経営事務所(東京都新宿区)

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コンプライアンスについて

■コンプライアンスとは

最近、「コンプライアンス」という言葉をよく耳にするようになりました。これは、法令遵守(関係諸法令、さらには社会規範や倫理面まで含め、それらを守って行動すること)を意味します。近年、雪印の事件などに端を発し注目を集めるようになりました。

さて、中小零細企業においては、遵法精神というものをあまり意識していないところも多いのではないでしょうか。

 

たしかに、法令の中には、それに違反したとしてもすぐに罰則の適用を受けないものがあるのも事実です。いや、むしろ、違反したとしてもすぐに処罰の対象とならないものがほとんどであるといえるのかもしれません。

(法律系専門家のホームページ等を見ると、「〜に違反すると○万円の罰金を支払わなければなりません」というような表現をよく見かけますが、実際のところ、よほど悪質なものでない限り、いきなり罰金刑が課されるということはまずあり得ないと思われます)

しかしながら、遵法精神をないがしろにすることの本当の弊害は、行政による罰則の適用などではなく、法人における最重要項目である「信用」を失ってしまうことです。しかも、これは、犯した当人の気付かないところで密かに進行するのが最も恐ろしいところです。

 

たとえば、株式会社においては、商法により、取締役は2年(監査役は3年)ごとに改選とその登記を義務付けられており、たとえ後任者が同一人であっても重任の手続を省略することはできないとされています。また、同法では、これに違反すると100万円以下の過料(行政による罰金のようなもの)が課せられると規定されています。

しかしながら、現実には、零細企業においては長年にわたり取締役全員が重任というケースが多く、上記の手続を怠っている会社も多いようです。にもかかわらず、実際に過料を徴収されたという話は聞いたことがありません。

さて、上記を読んで、「取締役の変更登記はしなくてもいい。わざわざ司法書士に報酬を払って変更登記をしたら馬鹿をみる」と安易に考えてしまう経営者もいるかもしれません。しかし、それはあまりに浅はかな考えであるといえます。

なぜなら、こういう手続を怠るような会社は、必ずどこかで「信用」を落としているからです。事実、銀行や取引先が、その会社が信用できるところかどうかを調べるには、まず法務局で登記簿をとるといいます。登記簿謄本など外部の人間でも自由に発行できますので、上記のようなケースでは、その会社の遵法性の無さをみすみす公開しているような状態とさえいえます。そのような会社に堅実な金融機関やまともな取引先が継続的な付き合いをしてくれるはずがありません。

もちろん、変更登記をしていないことが関与先に直接的に害を与えるわけではありませんが、そのような会社は「他にも何か問題があるのでは」と疑われてしまうわけです。

 

これと同じようなことは会社と従業員の間でもおこっています。

例えば、労働基準法は、昔から“最も違反の多い法律”といわれることもありました。事実、労働組合のない中小零細企業では、適法な労働条件を確保していない事業所も多く存在するようです。そのような場合でも、すぐに労働基準法違反で処罰の対象となることはほとんどありません(近年は、かなり取締りが厳しくなり、労働基準監督署による是正勧告も激増していますが、それでも氷山の一角でしょう)。

しかしながら、これも、上記の話と同様、行政による処罰云々よりも深い部分に問題が潜んでいます。それは、会社が自社の従業員からの「信頼」を失うことです。これは、深刻な問題です。

サービス残業や賃金未払いのような金銭的な問題であれば、遅かれ早かれ労働者や退職者が行政に申告(チクり)をすることで処罰を受けることになるでしょう。しかしながら、それ以外の部分は、なかなか表面化しません。そして、それはやがて、“退職”という形でひっそりとに現れることになります。

幣事務所は労働者からの相談にも応じていますが、零細企業の従業員の多くは、「入社時に労働条件の明示がなかった」「出退社時間の記録がない」「就業規則がない」・・・といった直接的には従業員に被害がないと思われるような部分についても驚くほど気にかけています。

法律で義務付けられている帳簿類が整備されていないような会社は、従業員に“全体的にいい加減な会社”というイメージを持たせ、「長く働く会社ではない」というレッテルを貼られてしまうのです。ひどい場合になると「こんなずさんな会社なら、ちょっとくらい横領してもバレないだろう」というように完全に従業員に“ナメ”られてしまいます。

まして、「労働保険に加入していない」「社会保険に加入していない」というような根本的な問題であれば、「目先の金ばかりで、長期的スパンで経営を考えられない会社」という目で見られてしまうことは明らかです。

しかも、優良な取引先ほど会社の遵法性をよく吟味するように、優秀な社員ほど、遵法精神が希薄な会社を離れていくのが悲しい現実です。

経営者の皆様、一度、自社の遵法性というものを見直してみる必要があるのではないでしょうか。

 

当事務所では、就業規則等の諸規定の作成・変更などのサービスを提供しています。

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