社労士/社会保険労務士鈴木労務経営事務所(東京都新宿区)

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ヒトについて

■経営と人

経営は「人・金・物・情報」により成り立っているといわれておりますが、優秀な人材は会社にとってかけがえのない財産であり、ぜひとも末永く勤務してもらいたいものですね。

さて、バブル崩壊後の日本経済低迷の要因として、昨今、いわゆる日本型経営が非難を浴びることが多くなり、「年功序列」「終身雇用」ともに非難の対象とされることがあります。

しかしながら、ここで注意を要するのは、「年功序列」と「終身雇用」は本質的に全く無関係の問題であり、非難されるのは「年功序列」の賃金体系のみであるべきという点です。

終身雇用もしくは長期的雇用といったものは、本来、会社経営にとって最も効率のよい形態であることは明らかです。一般的に、従業員が会社に利益を生みだすようになるには最低3年はかかるといわれており、会社の業務内容・企業風土に慣れた人材は何としても手放したくないものです。

近年、“雇用の流動化”の名のもとに、各企業においてせっかく一人前に仕事ができるようになった労働者がすぐに退職してしまうという悲劇が濫発しています。

新規採用にかかるコストや人材教育・育成の費用という点からみても、既存の労働者にできるだけ長く働いてもらうこと(離職率の低下)は企業経営にとっていつの時代も最重要テーマであるといえます。

さて、日本では、長い間、従業員の定着率を上げるために、いわゆる勤続年数比例の退職金が利用されてきました。金融機関の利率が高かった頃は、給与の一部を銀行や保険に寝かせておくだけで自動的に原資を確保できたため、給与の後払いとしての退職金は非常に意味のあるものでした。

しかし、退職金制度そのものが崩壊している現在のゼロ金利時代においては、どうすれば従業員の定着率を上げられるのでしょうか。

「モチベーションの上がる賃金制度を導入する」「社内キャリアアップ制度を作る」「経営者が経営理念・ビジョンを語る」・・・色々な方法がいわれています。しかし、本などで紹介されている方法はどれも特定の大企業の成功体験に基づいたある意味で理想論に近い内容がほとんどです。中小企業においては、「有給休暇を与える」「残業代を支払う」「法定の健康診断を毎年実施する」「職場環境・作業環境を見直す」といった当たり前の部分から考え直してみるべきではないでしょうか。これらは当たり前過ぎてあまり言われることはありませんが、実際、離職率の高い中小企業の多くはこのような基本的なところに問題があることがほとんどです。

これらの基本的な部分に問題があると従業員は、「自分は大切にされていない」「自分は会社の駒にすぎない」と感じるようになってしまいます。特に、会社の利益に直接無関係の部分を蔑ろにすることに従業員は敏感に反応します。

人間というのは、本来、(損得“勘定”ではなく)“感情”によって行動する生き物ですので、退職金などなくとも、大切にされていると感じている限り簡単に辞めることはありません。

 

人、金、物、情報といった、いわゆる経営資源を表す時に、いつも「人」が一番最初に来るのは、後の3つを扱うのがいずれも「人」であるからです。「人」を大切にしない企業には、一時的な利潤はあっても、継続的な繁栄は難しいことはことごとく歴史が証明しています。

そもそも、CS(顧客満足)だけでなくES(従業員満足)の向上に目を向けることは、企業利益という観点からもその評価は揺るぎません。ESの向上が巡り巡ってCSの向上そして売上げの向上につながるはずであるからです。CSとESは企業利益の点からも、決して相反するもので無く常に表裏一体の関係にあります。

ヒトに関することは、商品開発・販促活動などと比べれば、すぐに目に見えた経済効果が現れるものではありませんが、長いスパンの中で必ずボディーブローのようにじわじわと効いてきます。

ヒトに関する部分こそが経営の最も難しい部分であることは間違いありませんが、同時に、最もエキサイティングな部分であることも間違いありません。

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